熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)は、「熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)」、「熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)」と熊野三山の一つとして知られ、日本全国に点在する約4,700の熊野神社の中心の神社となります。
古くから「熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)」=「イザナミノミコト」の恵みよって「結宮(むすびのみや)」と云われ親しまれ、この「結宮(むすびのみや)」は、「繋がり」を象徴し、人と人、人と自然、人の願いを結ぶ場所として崇められています。
特に、熊野那智大社から見える那智の滝は、その壮大な自然の美しさで知られ、長寿と災いからの守りを求める人々にとって大切な場所となっています。海や交通の安全を司る八咫烏(やたがらす)や、災いを避ける御神木のナギの木など、自然の中に息づく様々な神様が信仰されています。
日本神話に基づく神武天皇の東征に由来し、那智の滝を神体として祀る熊野那智大社の歴史が始まりとされています。
「那智の滝」は、日本一の滝の壮大な自然のスゴさを見ることができ写真に収めたくなる絶景です。
さらに、隣接する那智山青岸渡寺の社殿は見もので、その美しさと歴史的価値で国指定重要文化財にも指定されています。
また、時間と体力がある方におすすめなのは、苔むした石畳の道が続く大門坂から始まる参詣道。この道は、静寂と緑の中を歩くことで、心が洗われるような体験をすることができます。
熊野那智大社の見所・パワースポット
参道入口
郵便局の赤いポストがあるところが参道入口になります。
参道入口から熊野那智大社までは467段と長い石段を上って行かなくてはいけません。参道入口からは約20分程度あれば上ることができるでしょう。
※足の不自由な方や小さなお子様をお連れの家族には、大社の社務所のすぐ下には駐車場(30台程度収容可能)がありそこからすぐに境内に行くことができます。
一旦休憩できる平坦なところがあります。
石段を上っていると、「実方院じつぽういん跡」を見ることができます。
実方院とは、上皇・法皇の宿泊所として使用されたところみたいです。
赤い大きな一の鳥居
西国第一番礼所と書かれた石碑があり、すぐに赤い大きな鳥居が見えてきます。
この一の鳥居をくぐると、左側には手水舎があり、右側には歴史ある「児宮(多富気王子神社)」がそびえ立っています。
多富気王子神社は、かつての巡礼路、熊野古道に点在する九十九王子と呼ばれる神社群の最後の一社となります。この神社は、熊野信仰の深い歴史を持ち、1877年に熊野那智大社の摂社としてここに移されたそうです。
ここからは、頂上まであと少しです。
急階段のある二の鳥居
階段を登っていくとまた鳥居が見えてきて、最後の急な石段を上っていきましょう。こちらを上れば頂上です。
境内の休憩所から見える景色
二の鳥居をくぐると左側に休憩所と手水舎があります。
上って疲れた方はこちらで休むといいでしょう。またこの場所から見る景色も綺麗です。
礼殿・本殿
歴史的価値で国指定重要文化財にも指定され、六つの美しい社殿が並んでいます。それぞれの社殿には、異なる神様が祀られ、訪れる人々に静かな力を与えています。
※上記の写真は礼殿となります。
※本殿の後ろにあり、直接見ることはできません。
御縣彦社(みあがたひこしゃ)
熊野の神々の使者として崇められる、三本足の烏である八咫烏(やたがらす)を祭っています。礼殿の左側にあり八咫烏の石像があるところになります。日本サッカー協会のシンボルマークにも採用され、スポーツの世界で日本が団結し、強さと精神を象徴する力強いシンボルとなっています。
烏石(からすいし)
伝説によると、八咫烏(やたがらす)が、初代天皇神日本磐余彦命(かむやまといわれびこのみこと)=神武天皇を奈良の橿原まで導いた後、那智山で烏石という岩に姿を変えて休息を取ったとされています。この神話は、室町時代に描かれた「那智山宮曼荼羅」という絵画にも描かれており、絵では御本殿を囲むようにしてこの烏石が描かれています。
大樟(くす) 胎内くぐり
樟霊社(しょうれいしゃ)は、圧倒的な存在感を放つ樹齢約850年の樟の木にあり、神聖な木として崇められ、御神木としてお祀りされています。
この大樟(くす)は高さ27メートル、幹の周囲が約8.5メートルにも及びます。
その幹は時間の経過とともに空洞化しており、300円の護摩木か500円の絵馬を携えて、この空洞をくぐり抜けること(胎内くぐり)ができます。
この樟の木は、平重盛によって植えられたと伝えられています。
貴重な文化財を保有する宝物館
熊野那智大社の宝物館は、朝廷や幕府との深い関連を示す奉納品や祭具など日本の歴史と文化を豊かに物語る貴重な文化財を数多く保有しています。特に注目すべきは宝物殿に展示されている古代の刀剣、鏡、祭具、参詣用の曼荼羅、古文書、そして経塚から出土した品々は見もので、これらの展示品は、熊野那智大社や熊野古道の豊かな歴史を探る貴重な手がかりとなり大変貴重な品物になります。
拝観料 | 大人:300円 小・中学生:200円 未就学児:無料 |
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開館時間 | 8:30〜15:30 |
「曼荼羅の道」「大門坂」
那智勝浦駅から熊野那智大社までの道のりを「曼荼羅の道」と呼び、世界遺産に登録された熊野古道の一部となっています。
熊野那智大社への玄関口として知られ、熊野古道の魅力を存分に味わえる人気のルートとなっています。けれど、那智勝浦駅からの道は、約7km(約4時間)の道のりになってしまうため、こちらの道を歩くことは難しいです。
熊野古道を感じる大門坂
そこで熊野古道を楽しめるおすすめ道が大門坂から行く道です。
大門坂から緩やかな石段が続くため、歩くにはある程度の体力が必要です。けれど、周囲の美しい景色は壮大で熊野詣が盛んであっ た平安時代にタイムスリップをしたような雰囲気を味わうことができます。
大門坂から那智大社までは約1.5kmの距離を、ゆっくり歩けば約35分で完歩することができ、自然の中での散策を楽しみながら、熊野那智大社への道のりを楽しみたいという方にはおすすめの参道。
平安衣装体験
夫婦杉の近くに「大門坂茶屋」というお店があります。このお店は、休憩所でもありますが「平安衣装」体験することができます。色鮮やかな平安時代の衣装をレンタルし、当時の姿で熊野古道を楽しむことができます。
衣装は専門スタッフによる着付けが受けられ約10分程度衣装を着ることができます。非日常を体験したい方にはおすすめです。
選べる衣装には、女性用の「壺装束」と男性用の「狩衣(かりぎぬ)」があり、様々な色の中からお好みの一着を選ぶことができます。子供用の衣装も用意されており、3歳からの体験が可能です。
料金 | 2時間まで3,000円 2〜3時間まで4,500円 以降20分毎に500円(税込) |
関連サイト | 平安衣装体験サイト |
熊野那智大社のご祭神
主祭神 | 熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ) |
社殿 | 祀られている神様 | 神様の象徴 |
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第一殿「瀧宮」 | 大己貴神 | 自然と調和 |
第二殿「証誠殿」 | 家都御子大神 | 家庭の平和 |
第三殿「中御前」 | 御子速玉大神 | 成長と発展 |
第四殿「西御前」 | 熊野夫須美大神 | 万物の生成・育成 |
第五殿「若宮」 | 天照大神 | 太陽と豊穣 |
第六殿「八社殿」 | 天神地祗 | 天と地の神々 |
熊野那智大社はなんの神様?
熊野那智大社の神様は熊野夫須美大神、別名で伊邪那美命です。この神様は、万物の誕生と育成を司り、農業、林業、水産業、漁業の守護神として崇められています。また、人々の絆を強く結ぶ「縁結びの神」としても信仰されています。
さらに、那智の滝自体が神聖な存在とされ、那智の滝は、大己貴命(おおあなむちのみこと)の姿を表す御神体として崇拝されており、古代の日本文化において国土を形成した国造りの神として「出雲風土記」に記述されています。
熊野那智大社のご利益
無病息災、長寿、所願成就、縁結びなど
ジャンボおみくじ
また、拝殿前には大きな「おみくじ」があります。このおみくじの長さは133cmで、那智の滝の落差133mを象徴しています。
熊野那智大社のお祭り
那智の火祭り
毎年7月14日に熊野那智大社で開催される「那智の火祭り」は、この地域の文化と伝統を色濃く反映した例大祭です。祭りのハイライトは、那智の滝の前で行われる壮大な光景。巨大な松明が舞う「扇神興」と呼ばれる儀式では、参加者たちが火の舞いを通して神々を迎え、祭りの雰囲気を盛り上げます。この祭りは、古くから伝わる独特の風習と熱気あふれる演出で、訪れる人々に深い印象を残します。
熊野那智大社の御朱印・お守り
御朱印
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山にある熊野那智大社を参拝(●´ω`●)
和歌山、奈良世界遺産、御朱印巡りの旅
熊野三山の一つ熊野那智大社にお参りに行きました。#熊野那智大社 #世界遺産 #御朱印 #御朱印巡り #京都ちせん #京都ちせんLove、 pic.twitter.com/YFoJXd8FcL— よねっち (@hzz7HJ5f5leV6WT) September 19, 2023
熊野那智大社の御朱印は日本第一大霊験所と書かれたものを頂くことができます。
また、熊野那智大社の授与所で熊野那智大社と御縣彦社の二つの神社で、御朱印を頂くことが可能で、限定版の特別御朱印を頂けることもあるようです。
お守り
熊野本宮大社、那智大社、速玉大社の熊野三山へ行ってきました。那智大社では日本一大きなおみくじに挑戦!重いしくじがなかなか出なくて苦戦💦八咫烏のおみくじとカラス天狗?のお守りも買えて良かった。速玉大社の梛みくじは形が珍しかったのでやってみました。大吉1の中吉2。まあまあかな~。 pic.twitter.com/b7XhsvjI2l
— natsu (@natsuafj) January 18, 2019
注連縄守、人と人の縁を結んでくれるさくら結守、「物事」を良い「方向」(勝利)に導く勝守、八咫烏がかわいいやたがらす守・こども守、みちびき守・烏みくじなどさまざまなお守りを頂くことができます。
烏牛王神符
熊野那智大社では、800円で独特の「カラス文字」によって書かれた「烏牛王神符」を手に入れることができます。この神符は、那智御瀧の水で墨を摺り「那智瀧宝印」という特別な言葉が記されています。
熊野那智大社の駐車場・アクセス
駐車場
熊野那智大社駐車場
料金 | 防災道路通行料 800円 |
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駐車台数 | 30台 |
備考 | 熊野那智大社まで徒歩1分 |
大門坂駐車場
料金 | 無料 |
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駐車台数 | 100台 |
備考 | 大門坂入口まで徒歩3分。那智の滝へのバスアクセスあり。 |
那智の滝第一パーキング
料金 | 500円/回 |
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駐車台数 | 40台位 |
備考 | 那智の滝に近い。近くの美山亭で割引あり。 |
那智山観光センター
料金 | 通常期無料 繁忙期1回500円 |
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駐車台数 | 観光バス20台 普通車約70台 |
備考 | 那智の滝の入り口まで徒歩10分、熊野那智大社まで徒歩15分と程よく距離にある。 |
※その他駐車場がいくつかあり、お店で食事をすると駐車場料金が無料になるというところもあるようです。
アクセス
自動車でのアクセス
名古屋方面の場合
名古屋からのアクセスは、東名阪自動車道、伊勢自動車道、勢和多気JCTを経由して紀勢自動車道へ、熊野尾鷲道路を進み熊野大泊ICを左折して 大泊バイパス/国道42号に入る、那智勝浦インター入口(交差点) を左折して県道46号を行くと熊野那智大社まで行くことができます。
※所要時間:3時間33分(約250 km)
大阪方面の場合
大阪方面からのアクセスは、阪和自動車道を利用しています。具体的には、阪和自動車道方面に行き松原那智勝浦線を経由していきます。その後すさみ南インターチェンジで降り、県道36号から県道42号に切り替え、海岸沿いの道路を進みます。さらに、那智勝浦新宮道路や国道42号を経由し、那智勝浦IC出口から那智勝浦方面に向かって進み、那智勝浦インター入口(交差点)で左折します。最後に県道46号(那智山勝浦線)に進むことで、熊野那智大社まで行くことができます。
※所要時間:3時間42分(約240 km)
電車でのアクセス
JR紀勢本線を利用して紀伊勝浦駅まで行きます。そこから熊野御坊南海バスに乗り換えバス停「那智山」へ約30分ほどです。
※運賃は630円
熊野那智大社の概要
所在地 | 〒649-5301 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山1 |
社格 | 旧官幣中社 別表神社 |
関連サイト | 公式サイト |